ごあいさつ

一般社団法人 飯塚医師会 会長

西 園 久 德

令和4年度 事業計画

令和4年が始まり、早速、心配していた新型コロナウイルス(オミクロン株)による第6波が爆発的に発生し、福岡県では1月27日より「まん延防止等重点措置」が発令され、会員の先生方には、より慎重な診療や不便な生活をされてある事と思います。今年の3月末には、診療報酬改定があり、医師の技術料など本体部分を0.43%増、薬価等部分を1.37%減とし、全体でマイナス0.94%と残念な結果となっています。新聞紙面上などで不妊治療の保険適用、オンライン診療の恒久化、リフィル処方箋、大病院への紹介状なし受診時の特別料金の増額、ヤングケアラーの支援強化、湿布処方の1回の枚数制限等が掲載され、中には新しい医療制度も含まれており、3月末の説明会を待って頂く事になります。
さて、本年度の事業計画の重点は、新型コロナウイルス感染症の対応になりますが、その他は、前年度と同様、在宅医療・介護連携推進事業、地域医療構想調整会議、夜間の1次救急になります。その他、大規模災害時行動計画(兼・災害医療救護計画)や昨年北九州市に視察に伺った「とびうめネット連携事業」の進捗も気になる所です。
地域包括ケアシステム構築のため、コロナ禍においても協議会、研修会を今年度も出来るだけWeb等を活用して、現在の活動を継続維持する事が課題と考えております。
地域医療構想調整会議は、新型コロナウイルス感染症が起きた事で、新興感染症等の体制確保や取り組みについても協議される予定です。
飯塚病院小児科に関してですが、2024年(令和6年)4月に医師の働き方改革が適用(時間外労働の上限規制)されると、飯塚病院の小児科での医師数では、勤務シフトを組む事が困難となり、現状の夜間小児の1次患者さんの診療を遠慮したいとの申し出がありました。(2次、3次の患者さんは、今まで通りの診療とのことです。)現在、飯塚医師会の夜間急患センターでの小児科は、1歳児以下の診療は行なっておりません。0歳児の診療は飯塚病院救命救急センターの小児科に回って頂いていた事から考え、この地区の0歳児からの夜間小児診療体制がどうあるべきか考えると、新型コロナの様な新興感染症を含め発熱患者の動線、ゾーニングに対応出来る広い待合室の必要性から、現在の医師会の夜間急患センターでの小児科診療を中止してでも、新しく0歳児から診療の出来る小児の夜間一次急患センターの開設を考えざるを得ません。福岡県内で、毎日、朝まで夜間小児科診療を行っている急患センターは、福岡市、北九州市、宗像市、糸島市の4ヶ所でそれ以外の急患センターは、遅くとも平日は23時、24時迄です。飯塚医師会医療圏でも、最低でも23時頃までの診療が出来ればと考えております。内科系医師に比べ、小児科専門医の数は絶対的に少なく、この様な計画を実現する為には、大学医局の医師などの応援が不可欠となります。この厄介な働き方改革を充分考慮して、その実現の可能性も含めて、妥協点を求めて、行政と検討中です。
昨年、一年間の延期の申し出があった、飯塚病院の夜間1次救急外来縮小の件は、同じく、2024年4月からの働き方改革の適用に合わせて、ウオークイン患者の診療廃止を盛り込んだ状態で取組むとの返事をいただいています。本年度4月から、どのような医療提供体制になるのかは、現時点で決まっていませんが、今後の話し合いが必要な所です。2024年4月からの働き方改革は、飯塚病院以外の病院群にも適用され、この地区の診療時間外の医療提供体制が成り立つか不明です。中には、地域医療の崩壊が起こると心配される先生も有り、ここ2年間の国の施政、日本医師会の方針は注視すべき所です。
さて、飯塚医師会の事業3部門で、新型コロナウイルス感染症に対する感染予防に徹してクラスターを発生させない事が最重大課題ですが、実際の事業運営面で心配なのは検診検査センターです。現在、検診検査センターの全体の収支はトントンですが、検査部門の赤字を検診部門の黒字で埋め合わせております。しかし、何かしらの大きな出費や予想外の事案が生じた時、直ぐに赤字になってもおかしくない状況にあります。過去の執行部の先生方のご努力の結果、臨床検査室はBMLとのFMS化による共同運営で赤字幅は縮小致しましたが、それでも年間3~4千万円の赤字を認めています。このままの運営では、ますます会員の先生方の財産を目減りさせる事となり、何らかの対応が必要な時期と考えます。現行の検査料金の料率を変更して増収を図るか、又、BMLとのブランチ化も考える必要性があるのではないかと思います。その為にはどの位の料率増が必要かの予測、ブランチ化にはBML側の条件、医師会側の条件を協議し、医師会にとって最善対策はどの様なものか、医師会内で検討の上、会員の先生方や会職員の皆さんへの説明も必要となります。これを実現する為には、現行の職員体制では無理があると考え、その役割を担う人材が必要となり、検診検査センター担当部長を置くことを決めました。過去に2市8町の合併時ご苦労された、嘉麻市役所元部長(63歳)を約3年に渡り採用する事とし、部長には、その他、検診検査センターの経営改善(経営企画)、職員の意識改革・業務能力の向上、行政との交渉などを担当させる事にしております。
又、検診検査センターの安定運営にも関わる事ですが、現在の本会事務局長は約5年契約として医師会に迎えましたが、次期事務局長に内部からの昇格は時期尚早と思われ、色々な案件の継続性を考え、現事務局長には、今しばらく職務を延長する事と致しました。
最後に、現在、新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種が進行していますが、接種間隔期間の政府の方針が決まらず、大変ご迷惑をお掛けしました。又、加えて3月からは、5歳以上11歳以下の新型コロナワクチン接種が始まります。医師会の先生方や病院群の先生方には、今以上のご協力をお願いすると共に、今後とも、ご指導、ご鞭撻をよろしくお願い致します。

重点項目

  1. 新型コロナウイルス感染症に係る診療・検査・ワクチン接種の体制整備
  2. 地域医療の連携及び対策(地域包括ケアシステムの構築・深化および地域事情に沿った地域医療構想の調整)
  3. 救急医療対策の推進
    夜間の1次救急医療体制の整備、休日在宅当番医制・病院群輪番制・大災害時支援態勢

  4. 生活習慣病対策、認知症・精神保健対策
  5. 福岡県医療情報システム(とびうめネット)の拡充
  6. 組織力強化への取り組み
  7. 医道倫理の昂揚(自浄作用活性化の推進)
  8. 各種検診、人間ドック、がん検診、特定健診・特定保健指導事業の推進
  9. 広報活動、市民公開講座の充実
  10. 医療法及び医師法改正に関する対応

業務内容(平常)

  1. 会 務
    (1)諸規定の検討
    (2)事務の合理化・会計の透明化
    (3)職員対策
    (4)ブロック医師会との連携強化
    (5)医政の強力な展開
    (6)行政、関係官庁との緊密な連携
  2. 会 員
    (1)医道倫理の昂揚
    (2)生涯研修の充実
    (3)保険対策並びに保険審査に対する対応
    (4)福祉対策の充実
    (5)会員保険の促進
    (6)税務対策
    (7)医報・広報活動の充実
    (8)麻薬・覚醒剤対策
    (9)医事調停
    (10)医療情報開示
    (11)従業員対策
  3. 地 域 医 療
    (1)プライマリケアの充実・福岡県医師会「新かかりつけ医」体制の推進
    (2)病診連携の推進
    (3)救急医療対策(大規模災害時対策を含む)
    (4)健康教育の活発化
    (5)感染症(新型コロナウイルス、新型インフルエンザ、麻しん、風しん、MRSA、C型肝炎、B型肝炎)対策
    (6)乳幼児保健対策、予防接種の定期接種化実現に向けた活動(おたふくかぜ)
    (7)学校医活動
    (8)産業医活動
    (9)介護保険活動
    (10)住民検診・集団検診・人間ドック検診・事業所検診・団体検診の促進
    (11)医療・保健・福祉情報システムの整備・充実
    (12)認知症初期集中支援チーム活動(複数の専門職が認知症が疑われる人や認知症の人を訪問し、認知症サポート医に相談しながら初期の支援を包括的・集中的に行い、自立生活のサポートを行います。)
  4. 事 業
    (1)看護高等専修学校
    (2)臨床検査センター並びに検診センター
    (3)訪問看護ステーション並びにケアプランサービス
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